マーケロボCEO田中亮大のブログ

Marketing-Robotics(マーケロボ)B2Bマーケ/セールス専門企業

Facebookシェア4,000以上。資料DL希望者6,900名以上。マーケロボ事業計画資料の無料公開を振り返る。

 

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この記事の目次です。

資料公開までの背景

2019年1月に、ディップ株式会社(東証1部)等複数社からの出資とエリア本部の加盟金を含み約5.4億円のシリーズA期における資金調達を実施しました。

2018年5月の上場企業4社等との約6,000万円のシード出資に続くもので、プロダクトリリースが2018年4月から鑑みると事業開始9ヶ月で約6億円以上の資金調達(デッド除く)は比較的スタートアップ企業としては順調な推移です。

 Marketing-Robotics(マーケロボ)社の紹介については、こちらをご参照ください。

marketing-robotics.hatenablog.com

資料公開をしようと思った理由

心の底から「次に続く起業家たちの役に立ちたい」という純粋な想いでした。ここまで広がるとも思っていませんでしたし、何か狙いがあったわけでも一切ありません。

資金調達に成功したと言っても、決して私一人の力で成功したわけではありません。一緒に働く仲間はもちろんのこと、運やタイミング、そして多くの人の支えがあって実現したことです。

 

特に、先輩経営者の方々の口コミが非常に大きかったです。

 

シード期に出資して下さった上場創業者の方々はもちろん、普段から可愛がってくださる先輩経営者の方々の援護射撃あってこそでした。

マーケロボは社員数10数名。売上も黒転しているわけではない。しかも、B2Cの様に派手では無く、大きく一気にスケールするわけではないB2Bの、、、かつSMB(中小企業向け)サービスで、わずが9ヶ月での6億円以上の資金調達は周りの支援無くして実現しませんでした。

先輩経営者は、皆さん同じことを言います。「お返しは、先輩の俺たちではなく、お前の次に続くやつにしてくれ」と。

だから、そのお礼というか、何か私にできるお返しをしたいなという想いが全てでした。

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実際に使用していた(公開した)資料の表紙

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実際に使用していた(公開した)資料の目次

無料公開後の反響

2月にFacebookに投稿したら、たっら数時間でシェア数は1,000を超え、その後も増え続け、今では4,000以上のシェアをして頂いています。

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せいぜい多くて100人くらいの知り合いが、面白がって「見せてよ」と言ってくる程度だと予想してました。なので最初は、希望者へ個別にデータをメッセージする流れにしていました。

それが、数時間で1,000を超えて、対応できないと思い、急きょ、資料ダウンロード用のFacebookグループを作成。このグループへの参加者は、6,900名を超えました。

www.facebook.com

なぜ、ここまで広がったのか?を考察

知り合いだけではなく、私の知らない方もシェアしてくれています。その理由は何か?反響として頂いた声、後付けですが起業家を取り巻くデータを調べて考察してみました。大きく、下記3つにまとまりました。

①現在進行形の起業家による情報解禁

②シリーズAというブラックボックス化したフェーズの情報解禁

③シナリオ(台本)約8,000字も一緒に公開した

 

①現在進行形の起業家による情報解禁

起業に関する本やセミナー、ビジネススクールなどは数多く存在しますが、その主導者全てが現在進行形の起業家ではありません。

主催者・本の執筆者は全て、下記のいずれかです。

◆VC(ベンチャーキャピタル)

◆投資家

◆金融機関

◆会計士、税理士、弁護士などの士業

◆コンサルティング会社、起業支援コンサルタント

◆人材紹介会社、ヘッドハンター

◆成功し終えた経営者

この人たちは、起業家を軸にした場合、起業家と取り巻く利害関係者です。起業家を食い物にしているとまでは言いませんが(実際に、そういう類の人は少なくない)、起業家を商売の儲けの対象にしていることは間違いないわけです。

この関係性を否定しているわけではなく、起業家同士の横の繋がりや、フラットなセカンドオピニオンをくれる相談者が必要になってきます。しかし、躍起になって、投資先を見つけようとしているのがベンチャー市場です。そんな存在を見つけることは困難です。結果的に、 

 

起業家側と出資者側の情報の非対称性は否めない。

 

そんな状況になっています。

情報操作とまで言いませんが、今、本やネットに落ちている起業に関するコンテンツの大半が起業家の取り巻き・出資者側からコントロールされているものです。

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中小企業白書2017P138から引用

中小企業白書のデータが示すように、起業家の相談相手は、

〇そもそも相談相手がいなかった

〇家族・親戚・友人・知人

です。

相談相手がいないのは寂しすぎます。

家族や親戚が経営者一族なら良いですが通常は違うでしょう。無理するな、リスクを負うなと保守的なアドバイスや慰めが関の山です。

この様な、起業家のコミュニティが身近ではない日本に、現在進行形の起業家 / ベンチャー企業であるマーケロボ社から情報解禁があり、起業家や起業志望者にとって有益だと判断されたのだと考察します。

 

②シリーズAというブラックボックス化したフェーズの情報解禁

現役起業家の情報解禁が稀だと①で伝えましたが、今回のマーケロボの事業フェーズ:シード後~シリーズA以降は稀どころか皆無でした。

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起業前や起業直後はビジネスコンテストやピッチ動画がYouTubeなどでも見れます。しかし、資金調達前で実現可能性(実現意志)の低い事業モデルも多くあり参考度合いは低いです。

 

IPO後は、情報開示が義務付けられ、事業モデルや中期経営計画書の公開が各状況企業のIRページにして閲覧できます。

しかし、起業直後の試行錯誤のフェーズとは異なり事業モデルも固まっているため比較対象として適切できないこと。

また四半期毎の開示となり、現実的な数値での計画となり、ビジョナリーなベンチャー企業の事業計画書とは中身が違うことなど、参考にならないことが多すぎます。

 

例えるなら、野球を始めたばかり / 始めたいと思っている少年が、いきなりプロ野球選手と同じ練習メニューをしても体を壊すだけです。入門者には入門者の、少年野球には少年野球の、中学には中学の、高校にには高校野球の教え方やトレーニングがあります。

 

語弊を恐れず、もっと言うなら・・・

IPO後の経営者をゲストに招いたセミナーや勉強会なども開催されることはありますが、ハッキリいって本当のことを話しているとは言い難いです。

IRの関係上、突っ込んだことは言えませんし、オフレコ話など120%NGです。多くの失敗経験も糧となり、美談化されています。その話を鵜呑みにして起業すると大損害となります。

 

起業を目指す人、起業したての人が、本当に参考にすべきは、自分達と同じフェーズ、もしくは1歩程度先に言っている事業フェーズ。つまり、シード期~シリーズA期あたりのベンチャー企業です。

 

このフェーズの起業家の、ベンチャー企業の情報は、身近に知り合いがいない限り知り得ません。身近にいても、お前の会社の事業計画書見せてよ!と言える関係性になるには限りなく厳しいです。

 

つまり、一番、情報を必要と渇望している起業家が、情報を得る手段が、この国にはありませんでした。そこに、情報を持っている出資者側が、甘い言葉で近づけば、起業家は藁にすがるしかありません。

 

その結果、

◆低いバリュエーションで取り返しのつかない持株比率になる

◆株式の種類など知識なく言われるがままに契約してしまう

◆投資契約の見方が分からず、契約後、投資家の人が変わったように圧力が増す

◆一時的な株価の増減に一喜一憂し次回ラウンドでつまづく

資金調達は、不可逆ですので、本当に取り返しがつきません。

 

マーケロボ社が、起業したててでもなく、IPO後でもなく、

シード期、シリーズA期を終えたばかりのタイムリーなベンチャー企業であるという点も、今回の反響の大きな要因だと考察します。

 

③シナリオ(台本)約8,000字も一緒に公開した

今回の事業計画書は全43ページ。その各ページ毎に何を話すのか、台本もセットで公開しました。約8,000字。メモ書きや概要ではない。一言一句、ここで笑いを取るとか書かれた台本です。調査をしたわけではないですが、100名の起業家がいたら、ここまで台本を書いているのは、1名いるかいないか程度かと。私は幸い、昔からの癖で、何か資料を作るときは、台本から作り始めます。

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パワポで作った43ページの資料を見たら何となく概要は分かっても、どこを強調し、どいう繋ぎでページ移動しているのか?その行間までは見て取れません。

しかし、プレゼンの良しあし、人の感情が動くかどうかは、資料の綺麗さでも、極論事業の内容でもなく、誰が、どんな風に話すか、で決まります。

何兆円や国家レベルの話ではなく、、、繰り返しますが、シード期、シリーズA期の数千~数億円程度なら、この誰が、どんな風に話すか、で決まることは往々にしてあります。

今回の事業計画資料の公開がパワポだけでなく、台本(シナリオ)が一緒になっていることで、この、どう話しているか?がより詳細に知れるという点も拡散を後押ししたと考察します。

 

公開して得たメリット

冒頭で述べたように、何か特別な狙いがあったわけではなく、シンプルに「後に続く起業家のために」という想いで公開しましたが、振り返ると大きなメリットが3つありました。

①PR効果・認知が広がった

②サービス問合せが増えた

③求人応募が増えた

 

①PR効果・認知が広がった

これは想像以上に絶大でした。6,900名ともなると、直接の知り合いでない人が大半となります。しかも、資料をダウンロードした方のほとんどが経営者です。下世話な話をしますが、広告換算すると数百~数千万円ほどの効果だと言えます。

一歩引いた見方をすれば、事業計画書といっても、会社紹介資料です。商談時に営業マンから会社パンフレットを渡されて喜ぶ人はいません。それが、目線を変える/見せ方を変えるだけで、私も見たい!という方が次々と広がる。マーケティングカンパニーとして、常に、相手が顕在的&潜在的に求めているコンテンツは何か?と自問自答する日々ですが、自分の想像を超える反響があった今回は、素直に嬉しかったです^^

 

②サービス問合せが増えた

認知が高まれば、自然と問合せは増えますが、今回の資料公開によって、量に加えて、その質が非常に高い問合せ増でした。事業計画書と台本8,000字を読んだ上で問い合わせ頂きましたの、サービスの背景だけでなく、今後のビジョンにも共感した見込顧客の方との関係構築が増えました。

 

③求人応募が増えた

こちらも、②のサービス問合せ増と同じ理屈です。単なる応募ではなく、ビジョンへの共感した求職者からのご連絡を頂く数が圧倒的に増えました。

  

公開して気づいたデメリット

一言。無いです。

しいてあるとすれば、少々、陰口を叩かれたことくらいです。目立ちたがりとか。営業リストを作っているとか。

ベンチャー企業が柱の陰に隠れていては社会を変えられません。今後も、そんな声は増えるので、誰かを騙したり、悪い事していないと神様に胸を張っていえる状態であれば、気にもしません。

営業リストに関していえば、DLした人は分かってくれると思いますが、一切、DL者に営業活動をしていません。もちろん、求められれば提案します。別途、当社のサービスの資料請求をした方にはインサイドセールスから電話はします。しかし、今回の事業計画資料DL者を営業リスト化し、テレアポをガンガンとかしてません。

全てのベンチャー企業が公開すべきとは言いませんが、大半の資金調達済のベンチャー、スタートアップ企業は、事業計画書を公開した方が得られるメリットが非常に大きいです。

 

よく頂いた質問(資料公開して競合に見られて大丈夫?)への回答

資金調達に成功したからと言って、事業に成功したわけではありません。事業に成功するための資金調達なので、勘違いしてはとんでもないことになります。しかし、資金調達が成功したということは描いた事業計画の実現性が高い!と第三者から評価してもらった証です。

シード期調達なら人柄だけで数千万円程度集まりますが、シリーズA期となると、そうはいかない。数億円規模となるとDD(デューデリ)も終え、その計画実現性を調べられます。その上で、合格となるわけです。あとは事業計画書に沿って粛々とやるべきことをやっていくだけ。ある意味、その事業計画書はもう「過去のもの」です。

 

起業家はそれ以上の事業を考えて、社会に対して価値を生み出していくことが使命です。それなのに、過去の事業計画書を「パクられるかも」なんて隠していても仕方ないわけです。

さらに言うなら、大型の資金調達をする会社というのは、上場を目指しています。IPO後は、事業計画書も開示するので、その練習だと思えば、今から行った方がいいと考えます。 

とはいえ、事業フェーズによっては公開するべきでないタイミングもあります。もちろん全てのベンチャー企業が公開するべきだとも思っていません。その点は誤解なきように。

 

想いに共感してくれたベンチャー企業各社が事業計画書を公開し始めている

当初の私と同じ想い「後に続き起業家や挑戦者のためになるなら」に共感し、かつ企業としても事業計画資料を公開するメリットを理解してくれた同じフェーズ(シード期~シリーズA以降~IPO前)の起業家が続々と、資料公開を許諾してくれています。その総額は軽く100億円は超えます。

 

起業家の起業家による起業家のためのコミュニティ

マーケロボ社単体の事業計画資料公開グループではなくなったため、コミュニティ名を変更しました。

起業家

起業家による

起業家のための

億単位で資金調達したスタートアップ各社の事業計画書が見れるグループ

です。長いです。略称は、

億単・起業家 - LABO.
とします。

 

引き続き、事業計画資料のダウンロードによる閲覧は無料で行っていきます。下記、Facebookグループにて新着ベンチャー企業の資料DL情報などお知らせしていきます。

www.facebook.com

今後の方針

■起業家の生プレゼン

事業計画資料を見れば、何となく、そのベンチャー企業の事業内容や強みなど分かります。しかし、実際に、どこを訴求して、どんな雰囲気でプレゼンしているのか?ということは分かりません。実際に、資金調達を成功させた起業家の生(リアル)なプレゼンを聴ける場を開催していきます。

 

■億単位で資金調達した起業家同士の完全オフレコ話(参加者全員が秘密保持締結)

そして、生プレゼンが聴けるだけでなく、資金調達で失敗したこと、やって良かったこと、やらなくて後悔したこと、あのVCは気をつけろ、など完全にぶっちゃけトークを行い、起業したい、起業したてで資金調達前の起業家たちに、全てを曝け出します。誰かの悪口を言い合うわけではなく、自らの体験について語るだけでなのですが、多少のリスクはありますので、参加者全員にNDA(秘密保持契約)を締結してもらい、ぶっちゃける起業家のリクス回避を行っています。

 

実際に既に2回ほど開催しており参加者の満足度は異常に高いです。参加費を5,000円と設定させて頂きましたが、定員90名が1日で満員になりました。

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総額2億円調達のインバウンドテクノロジー林社長がゲスト

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総額約5億円調達のリフカム清水社長がゲスト

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(勉強会へ参加した方の声)

「内容は非常に勉強になり、刺激的ながらアットホームな雰囲気もあり、参加された皆さんの学びに対する熱意も感じれて、とても有意義な時間でした。また別の会も参加させてください。ありがとうございました。」

「本当に目からうろこが落ちるお話ばかりで、ワクワクしました!これからも実践あるのみですね。頑張っていきます。引き続きよろしくお願いいたします。」

「大変参考になりました。起業家からの調達の考え方や食い込み方などリアルなところを分かりやすく説明頂きとても濃密な時間でした!ありがとうございます。また別の回にも参加させてください。楽しみにしております。」

「誠にありがとうございました。資本政策について自分なりに本や資料を読んできましたが、表立っている情報はいかに投資する側の目線で書かれていることを改めて実感しました。ファイナンス領域は情報の隔たりが大きく、起業家による起業家の為のコミュニティは非常に価値が高いです。書籍では出ない実学、現場学を仕入れさせていただきありがとうございます。」

 

■都内から遠方の方や日程が合わなかった方も映像で見れる

都内にいなくてリアルでは参加できない方も多数いました。地方の起業家こそ、情報の遅れは顕著です。この忌々しき事態の改善のために、当日の様子を映像化し、同じくNDA合意済の方に閲覧できるようにしています。

 

■有料会員化の構築

既に何回か、参加費5千円を頂きリアルな勉強会を開催しました。価値ある活動だと高い評価を頂き、今後も継続して行う予定です。

リアルな勉強会への参加を有料にしたのは、その際には、会場設備、運営工数、映像手配などコストが発生するためです。

今後は、都度都度の参加費ではなく月会費制とし有料会員となった方にのみ、リアル勉強会に参加、映像閲覧ができるようにします。

 

当初の考え通り、資料を見るだけなら今後もずっと無料です。

しかし、この活動を一過性にせず継続させること、提供するコンテンツ(オンライン&オフライン)の価値を高めていくためには、運営費用と投資費用が必要ですので有料化とさせて頂くことを決めました。

有料会員のご案内は、下記をご参照ください。

marketing-robotics.hatenablog.com

 

最後に

起業家の

現在進行形の起業家による

起業家のためのコミュニティ

は、今まで誰も取り組んでいないものです。

 

この活動は、この国の起業家の輩出数を増やすだけでなく、その成功率も高めていけると思っています。しかし、私一人の力では無理です。マーケロボ社の仲間の支えはもちろん、共感してくれるスタートアップ各社、各方面の専門家の方々、先輩経営者の方々のご支援あって取組めています。そして何より、自分以外の他社のために、社会のために挑戦しようとする起業家の志があってこそです。

 

共創の精神で、日本の起業家の活性化だけではなく、この活動が海外やアジアにも広がっていけば素晴らしいなと密かに胸に抱いています。

 

Marketing-Robotics(マーケロボ)

田中亮大